介護サービスの全体像

2021.09.17 介護情報

 介護施設で働きたいと考えている皆さんに、介護サービスの全体像をご紹介します。

介護業界の基礎知識

 介護サービスとは、身体の不自由なご高齢者などに対して、食事・入浴・排泄といった生活に必要な身の回りの世話と付随するサービスを提供し、社会的な自立を支援するビジネスです。
 介護サービスは公共性が高いため、社会福祉法人や医療法人などが運営していますが、かつては公費(税金など)で提供していました。しかし、年々増え続ける高齢者人口に対応しきれないために、2000年に介護保険制度が導入されました。

 介護保険制度の導入によって、今では、40歳以上の国民が負担する「介護保険料」、国や地方自治体が負担する「公費(税金など)」、利用者が自己負担する「利用料」によってサービスが提供されています。
 社会福祉法人や医療法人が運営するとは言っても、都道府県や市町村などが介護事業者を指定・監督し、国と厚生労働省がサービスの範囲や報酬(料金)、利用限度額などを決めています。

介護事業者の売上

 介護サービスを提供する社会福祉法人や医療法人などのことを介護事業者と呼びます。公共性が高いとは言っても、介護事業者も主には民間の組織なので売上が重要です。介護事業者の売上は、国と厚生労働省が決める「介護報酬(料金)」に大きく左右されます。「介護報酬」は、介護保険が適用されるサービスや利用者の要介護度などに応じて設定さています。

   基本的な考え方
    介護報酬 =(介護報酬の点数+加算・減算点数) × 地域単価 × 利用回数・日数

 

 例えば、利用者A様の1ヶ月の利用料金は…

サービス名 点数 地域単価 利用回数 小計
基本サービス費(入所) 750単位/日 10円/単位 30日/月 225,000円
=750単位×10円×30日
短期集中
リハビリテーション加算
 50単位/日 10円/単位 30日/月 15,000円
=50単位×10円×30日
合計 240,000円/月

※わかりやすくするため、架空の点数や単価にしました。

 利用者A様の1ヶ月(30日)の利用料金の総額は240,000円と計算されます。このうち、1~3割(24,000円~72,000円)を利用者A様は自己負担として介護事業者に支払い、残りの9~7割は介護保険から介護給付として介護事業者に支払います。

介護サービスの種類

 介護サービスと一口に言っても、高齢者向けや障がい者向けなど様々な種類があります。ここでは高齢者向けの介護サービスの種類をご紹介します。
 介護サービスは「介護保険サービス」と「介護保険外サービス」に分けられ、さらに大きく「施設サービス」と「居宅サービス」の2種類に分かれます。

 

 

介護保険サービス

介護保険外サービス

 

施設サービス

居宅サービス

特徴

一部自己負担(介護保険利用)

全額自己負担

要支援や要介護と認定されなければ利用できない

要支援や要介護と認定されなくても利用できる

(次項で説明)

家事代行、食材宅配、送迎タクシーなど

 

 介護保険サービスは、施設サービス・居宅サービスごとに、さらに細かく分類されます。

 

 

 

介護保険サービス

居宅サービス

特徴

自宅で生活しながら利用する

種類

居宅介護支援

通所介護
(デイサービス)

通所リハビリテーション
(デイケア)

短期入所生活介護
(ショートステイ)

など

訪問介護

福祉用具貸出

など

小規模多機能型居宅介護

役割

介護計画を作成

施設に通い介護サービスを利用

自宅で介護サービス
を利用

通い+自宅の組み合わせ

 

 

 

介護保険サービス

施設サービス

特徴

自宅から施設に移って利用する

種類

介護老人保健施設
(老健)

特別養護老人ホーム
(特養)

介護医療院

介護付有料
老人ホーム

グループ
ホーム

その他

役割

要介護高齢者にリハビリ等を提供し在宅支援・在宅復帰を目指す施設

要介護高齢者のための生活施設
(要介護3以上)

要介護高齢者の長期療養・生活施設

 

 

 

 

 医療法人仁成会では、施設サービスである「介護老人保健施設」を2施設運営しています。さらに、第二にいがた園では、通所リハビリテーション(デイケア)も併設しており(2021年9月現在休止中)、施設サービスに加えて居宅サービスの提供により、きめ細かいサービスを提供しています。

求職者の皆様へ

 介護サービスをご利用なさる高齢者の方々だけでなく、求職の場面においても介護サービスの種類を理解しておくことは非常に重要です。ご不明な点等がありましたら、採用担当者が丁寧にご説明いたします。お気軽にご相談ください。

 

【参考文献】
 これならわかる<スッキリ図解>介護保険第3版(株式会社翔泳社)
 世界一わかりやすい介護業界のしくみとながれ第4版(ソシム株式会社)